I’m back. Omatase. 

ハリー・ポッターと24歳の女

できれば内緒にしてほしいのですが、私は魔法族予備軍(24歳・女性)です。

最近兼業でグラフィックデザイナーも始めました。

何を隠そう、ホグワーツ魔法魔術学校に入学できると本気で信じていた女です。そして本気で信じて”いる”女です。今現在も、何らかの手違いでかなり遅れた入学案内を咥えたフクロウが飛んでくるのではと思いながら生活をしています。

アイタタという声が遠くで聞こえた気がする。でもきっと空耳ですね。続けます。ホグワーツ魔法魔術学校(以下:ホグワーツ)に入学するかもしれない日々の中で、私はこれまでいそいそと入学準備をし、 幾度も入学後の学校生活、そして進路のシミュレーションをこなしてきました。

私が独自で考えた、“ホグワーツに入学したいマグルガールの入学準備”をご用意しました。あなたの入学準備へ参考にしてみてください。

明日フクロウ便でぴょんと入学案内が届くかもしれませんし、備えあれば憂いなしです。

※マグル…非魔法族、いわゆる「普通の人間」のこと。

ハリー・ポッターと
6歳のチャラチャラした気持ち

作品との出会いは6歳の頃。母に連れられて映画館で観た「ハリー・ポッター」シリーズ1作目、『ハリー・ポッターと賢者の石』。その頃はまだ文化的な物や娯楽への自我がまだあまり無く、なんとなく連れられてなんとなく観て、ただただ「すごーい!なんかよく分からないけど楽しーい!おもしろーい!ポップコーンおいしー!」みたいなチャラチャラした気持ちしか芽生えず。

この時点ではこの作品に対して過剰な愛はなく、「必ずどうしてもこの作品を全シリーズ観てやるワ……!」というメラメラした感情ももちろん沸いてきませんでした。

この時の私はおつむも心もまっさらな少女で、いずれどろどろの沼にはまってゆく事など、まだ知らない。

では、いつからこの作品を愛しちゃったのか。それは青々とした15歳、中学3年生の私まで姿くらまし(瞬間移動の呪文)します。

ハリー・ポッターと
15歳の厨二病

チリチリとした暑さの中、私は15 歳になり思春期・反抗期・受験勉強と大忙しでした。

人との距離がうまく図れない、女子と男子という同性と異性への違和感、自分以外の全てのものに対する承認欲求など、ありとあらゆる負の感情を生産していました。ちいさな世界の中でちいさく戦いながら、なんとなく生き延びていました。

この頃私は勉強が大嫌いでした。正確には勉強の先に毎回待っている定期テストが嫌いでした。

美術の授業以外は全て “嫌なやつら”とみなしていました。しかし15歳中学3年生、同志だと思っていた友人・知り合いもなぜか突然勉強に対して意識が高まる受験戦争が開幕です。ほぼ強制で出征。

夏、誰かが謳った「夏を制する者は受験を制す」というスローガンのもと、周りの同級生は皆夏期講習へ行き始めました。

私も母に、近くの塾の夏期講習を薦められたのですが、どうしてもどうしても行きたくなくて、ひとまず無料の体験講習へ行き、帰るなり母に「絶対に行かない」とものすごい主張をしました。意外にも母はすんなり受け入れてくれました。私の母は「いい高校へ行っていい大学に入って大手に就職しなさい」精神の世代のど真ん中だったはずなので、夏期講習へ行かない事を受け入れてくれたことは本当に不思議で、でも感謝しています。諦められていただけなのかもしれませんが。

夏休み、周りが皆、本当に皆夏期講習へ行く中私は家でだらだらと過ごしていました。皆夏期講習へ行っているので、行かない私はひたすらに暇を持て余していました。「宿題も勉強もしたくない、テレビうるさい、外暑い」とリビングで横たわる私の目に、留まりました。ハリー・ポッターの、書籍が。

どうやら私の母も実は魔法使いだったようで、まあ私が魔法族予備軍なので可能性は大いにあったのですが家に発売されている限りのハリー・ポッターシリーズのDVD・書籍が全巻揃っていたのです。魔法だよこんなの。

いま思えばこの時点で既に、私がハリー・ポッターの沼に落ちるには最高の、恵みに恵まれた環境が揃っていたんですね。

私は暑さも、ついでに宿題も勉強も忘れて夏休み中ハリー・ポッターの書籍をあるだけ全部読破、DVDもあるだけ全部鑑賞しました。(英語版、字幕版、音声字幕版とバリエーションも豊富に鑑賞しました。)

これが私のどろ沼厨二生活の始まり。

ハリー・ポッターと入学準備

さあ、どろ沼にハマりきってしまった少女は、日がたつにつれて現実とハリー・ポッターの世界との区別がつかなくなっていました。

私は非現実的な妄想を、かなり現実的に考えていて、「もし私にホグワーツから入学案内が来たとしたら、それはイレギュラーだ。」という自覚がありました。

何故ならホグワーツは11歳が入学する歳で、私はもう15歳になってしまっていたので、
「私はまだ魔力が目覚めていない、でも魔法界はそれを把握していて、時期を見計られているのだ。入学は思いもしないタイミングで来るんだろう、ならいつその時が来てもすぐ向かえるように準備万端でいなきゃ……!」そして「魔法界は私たちマグルが気付いていないだけで本当にある」と確信し、受験勉強そっちのけで入学準備を始めました。

ここでは役に立たない、入学準備の薦めを書き連ねてゆきます。

①制服と杖

その学校の生徒だ!と一目で分かる制服は、いち早く準備しておきたいですよね。
そしてなにより杖。これがなきゃ何もはじめられないです。

まず制服に関して、私はホグワーツの制服の為に、現実世界での高校を決めました。
ホグワーツの女子の制服はベースが白シャツ、グレーのプリーツスカートになります。

そして組み分けられた寮のカラーの入ったローブ、グレーのセーター&ベスト、ネクタイ、マフラー、手袋、帽子を季節に応じて着回します。

ハリポタの公式グッズで揃えるのが最良です。が、バイトも出来ない中学生や高校生、の方は下記方法がオススメ。中学生だった私はどうにか自分のお金をかけず
自然と制服をなるべく早く揃えられるよう、学区内の公立で唯一あったグレーのプリーツスカートでセーターが自由に選べる高校を希望しました。第一の志望理由は制服でした。

入試に面接が無くてよかった。

なんとかおこぼれで入学でき、セーターはもちろんグレーをにしました。ユニクロのラムブレンドでした。

グレーのプリーツスカートじゃない学校の人はグレーのプリーツスカートじゃない学校の卒業生から制服を貰う、またはお年玉などを握り締めて楽天、セシールを開きましょう。セーターはシンプルで多様性のあるユニクロで購入するのがベストです。

さすがにネクタイやマフラーなど、柄が唯一無二のものは公式グッズを買いましょう。入りたいと思っている寮のカラーのものを持っておくとよいかと思われます。

いざ入学し寮の組み分けの際違う寮に組み分けられる可能性はありますが組み分け帽子にめちゃめちゃ頼み込みましょう。 シリーズ1でハリーもやっていたので許されます。

②魔法の予習

ホグワーツは11歳が新入生です。ですが私はその時15歳。いくら魔力が目覚めるのが遅かったとはいえ既に4年分もスキルの差が開いているというのはよろしくないのでは?
では今できるだけの自宅学習をしておこう、という考えに至り、作中で使われている呪文を始め、設定としてWikipediaなどにまとめられている呪文一覧をひたすら暗記しました。

現実世界での英語、現国、数学、社会などに脇目もふらずひたすら呪文を暗記しました。

これは本当にやっていて良かったな、と思います。

今でも日常で辛いことや嫌なことがあった時唱えています。クルーシオ(苦しめ!)などは特に便利ですね。おすすめです。

③持って行く物の準備

入学案内が届いたら、きっと急いでハグリッドが迎えに来てくれるに違いありません。

「おまえさんがまさか魔法を使えるなんてな!魔法省でもその歳で突然魔力が目覚めるだなんて異例だっつって大騒ぎだ。さ、早よ乗れ。一先ず急いでおまえさんを送り届けてくれってダンブルドア校長に言われてんだ」

と、ブルンブルン音がすごい鳴るヤン車みたいなバイクで。

兎にも角にもかなり突然思わぬタイミングで迎えに来てくれるハズです。ドラマチックに憧れているのでそうであってほしい。突然迎えに来られた時に、荷造りを急ピッチでしてしまうと必ず忘れ物や、要らぬものを持って行ってしまったりなどありますよね。

杖を忘れてしまったりしては大変なので、何を持って行くかを予め考えておきましょう。杖や制服はもちろんのこと、お気に入りのぬいぐるみや、よく着る洋服下着、あとは実家で飼っている猫連れて行きたいなど。

これはきちんと考えておくのとおかないのとではかなり差が出ます!

④日々、イメトレ

イメージトレーニング、かなり重要ですね!予習と似通ったところがありますが、少し違います。15歳で沼にハマった私はハリー・ポッターの主演・ハリー役のダニエル・ラドクリフ氏の容姿にもどハマりしていました。

モフッとした効果音が鳴りそうな素敵な笑顔に狂わされてしまい、日々夢に出てくるという本当に狂気的な好意を持っていました。

お察しかもしれませんがここで言うイメトレとは、ハリー・ポッターの世界での生活シミュレーションです。ハリーとのラブロマンスやハーマイオニーやロンとの交遊の在り方、あとは寮のベッド脇に故郷の写真でも飾って週一で故郷に想いを馳せるなどしようとか
隅々まで設定を自分でつけてシュミレーションしていました。

シュミレーションをしておく事で、いざという時に焦らず受け答えができます。

こういった様々な入学準備を行っていた少女時代。この入学準備に関して15歳の小娘にしては先の事をしっかり考えたりしてデキる子だったねとたくさん褒めたいですね。

ハリー・ポッターと24歳の女

少女の時代は瞬く間に終わります。

本当に儚いですよね。もっとずっとキラキラしていたいのに、と。

早いものか私はいつのまにか24歳になっています。

まだ、ホグワーツから入学案内は来ていません。いつ来るんだろう。そろそろ送ってくれないと困っちゃうな。私は引き続き待っています。ここに記した入学準備を、未だ怠らずいつでも出発OKという心持ちで生活しています。

引っ越し先に照明器具が中々来ず灯りのない暮らしに突入した際、「ルーモス(光を灯す呪文)」と唱えました。仕事でミスしてしまった時、上司に向かって「オブリビエイト(忘却の呪文)」。無邪気に傷つけてきた相手には「コンフリンゴ(爆発せよ)」と。

ゆくゆく自分は偉大なる魔法使いになるのだしなと心に置いておくことで、うまくいかないことに対して少し優しくなれます。そして少し諦めることができます。

解説「ハリー・ポッター」シリーズ

原作:
J.Kローリング

出演:
ダニエル・ラドクリフ、ルパート・グリント、エマ・ワトソン ほか

J・K・ローリング原作の小説『ハリー・ポッター』をワーナー・ブラザースが映画化しました。第1作目では監督に『ホーム・アローン』・『ミセス・ダウト』などを手がけたクリス・コロンバスを迎えています。シリーズは映画作品では全部で7シリーズ・8作あり、まだ1作も観たことの無い人からすれば少し気が遠くなるかもしれません。でも007という映画(全24作)と比べてみて下さい。3分の1なのでスペシャルイージーな気持ちになれます。ちなみに「ハリー・ポッター」シリーズ、書籍は大判で全11冊あります。しかもめちゃくちゃに重いです。

押し花に最適だし漬物をつけてもいい。

シリーズ累計の興行成績は77億ドルで世界歴代3位を記録しています。絶大な知名度、そして膨大な収益をあげた同シリーズですが、2001年製作の第1作以来、アカデミー賞にシリーズ合計12ノミネーションを誇りながらも、ただの一度もその栄冠をつかんでいません。
しかし受賞はしていなくとも映画史に残る作品となっています。

▷文・水川海

座右の銘は「いつまでもフレッシュ」。
前世は海坊主です。

  編集・平成文字化け女
イラスト・くどうしゅうこ

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