Te wo Arai mashou.

令和のアニポケがすごいのを知ってますか!?

最新のアニメ『ポケットモンスター』略してアニポケ!みてますか?ぼくはみてます。すごいんです、今のアニポケは!

(C)Nintendo・Creatures・GAME FREAK・TV Tokyo・ShoPro・JR Kikaku
(C)Pokemon (C)2018 ピカチュウプロジェクト

30歳。すっかり大人になったぼくがアニポケと出会ったのはアニメ『ポケットモンスター』が放送開始した97年。20年以上も前、小学生低学年。あのポケモン大旋風の真っ只中!ポケモン第一世代の中心となる世代だ。

20年以上ポケモンを追いかけてきたわけではないが、2020年のステイホーム期間にぼくは自宅のテレビの録画予約をやたらめったら増やしていた。その中でも毎週必ずチェックする番組というのは限られてくる。

ドンドンと削られていくHD残容量と見てもいないのに残り続ける録画された番組たち。

2週以上溜まっても絶対に見ない番組は予約欄から脱落させていくことにした。

再放送の『いろはに千鳥』と『ワイドナショー』。そして、アニメ『ポケットモンスター』の3番組が現在、毎週録画されている精鋭となった。

脱落して行った数々のバラエティ番組、ドキュメンタリー番組を抑えて、何故ぼくはアニポケを毎週見続けることとなったのか!子どものころとは違う観点で見た時にポケモンというコンテンツの持つ強烈な魅力。それを20年以上もの間時代に合わせてマイナーチェンジされてきたであろうサトシとピカチュウの関係性やゲームとアニメの互換性の描き方。20年の時を経て、今のアニポケには親世代と子世代どちらにも刺さるアニメ作りが施されていたのだ!

令和アニポケの新たな設定や20年以上平成版アニポケの総監督を務めた湯山邦彦と令和版総監督である冨安大貴のそれぞれの魅力とその時代背景を考察してみよう!

目次

・今回のアニポケは主人公がふたり!
・具体性を帯びてきたサトシの夢
・拠点を置いての冒険
・放送時間と視聴者に寄り添うアニメ作り

・解説『ポケモンしりとり』(2020)

今回のアニポケは主人公がふたり!

『ポケットモンスター』は1997年から続くアニメシリーズで一貫して主人公はあのサトシくんだ。

そしてその相棒のポケモン、ピカチュウはもちろんのこと初代から登場する憎めない悪役ロケット団。彼らは今回のアニポケシリーズにもちろん登場する。だけど、最新のアニポケには明らかに大きく以前のシリーズとは違う点が存在する。

それがサトシと共に冒険をするもう一人の主人公である。

彼の名前はゴウ。

アニメ「ポケットモンスター」公式Twitter @anipoke_PRより

ゴウくんの “夢” は世界中のポケモンをゲットして全てのポケモンの遺伝子を持つと言われているミュウにたどり着くこと。

え!ミュウ!?あの、ミュウ?

初めてゴウくんの夢を聞いた時ぼくは一瞬「こんらんした! 」 危うく「わけもわからずじぶんをこうげき」するところだった。

ミュウは初代アニポケの時代1997年から存在する幻のポケモン。ゲーム版でも「幻のポケモン」として当時、都市伝説的な扱いを受けていた。

そもそもゲーム版の『ポケットモンスター赤 緑』(1996)の当初のCMでの謳い文句は「モンスター全部で150種類」とされていたはずなのに、アニメ版の初期エンディング曲では「151の夢 151の喜び 目指して頑張ろう!」と歌われている。

ゲームソフトが発売されてからアニメの放送が開始される間に明らかに1匹増えていたのだ!

今更ではあるが、その幻の151匹目のポケモンこそがミュウだったのだ!

(C)Nintendo・Creatures・GAME FREAK・TV Tokyo・ShoPro・JR Kikaku
(C)Pokemon (C)2019 ピカチュウプロジェクト

インターネットも今ほど普及していなかった時代に小学生だったぼくはミュウの存在に胸をときめかせていたのを覚えている。

そして、最新のアニポケには初代から続く898種類のポケモンがランダムに登場するのだ!これって大発明だと思う!ポケモンというコンテンツは世代によって知ってるポケモン、知らないポケモンが存在する。

ミュウはぼくたち30代の親世代にとって特別なポケモンである。そして2020年の子世代にとっても今回のアニポケシリーズによって、またミュウが特別なポケモンになっていくことを考えると親子揃ってアニポケを楽しめるように作られているのだ!

話を新たな主人公ゴウくんに戻そう!ゴウの夢は898種類も存在するポケモンを全てゲットすること。サトシと違ってまだ捕まえていないポケモンを見つけるととにかくモンスターボールを投げるゴウくん。しかも、ポケモンバトルにはほとんど興味がなく、サトシが参加するポケモンチャンピオンシップには観客としてスタンドから応援している!

また、捕まえていないポケモンを見つけると、とにかくモンスターボールを投げる!バトルにあまり興味がない!名前はゴウ?G…O…?

そう!あのスマホアプリ『Pokemon GO』(2016)のGOからきている名前なのだ!なぜ新アニポケには主人公がふたりいるのか!そして、そんなゴウくんと共に冒険をする、我らがサトシくんの “夢” は一体どんなものなのだろうか!

具体性を帯びてきたサトシの夢

サトシの夢は初代アニポケのOP曲『めざせ!ポケモンマスター』(1997)のタイトル通り、相変わらず「ポケモンマスターになる!」ということを掲げている。

だけど、ポケモンマスターって一体何なのかは結局のところ誰もわからない。

(C)Nintendo・Creatures・GAME FREAK・TV Tokyo・ShoPro・JR Kikaku
(C)Pokemon (C)2019 ピカチュウプロジェクト

「あらゆるポケモンを使いこなす、最強のポケモントレーナーのことである。」と表記されることもあるが、前シリーズまででサトシは既にポケモンリーグチャンピオンとなっており、「最強のポケモントレーナー」というのはリーグチャンピオンになるということでもなかったようだ。

平成版アニポケの全てのシリーズとひとつ前のシリーズ『サン&ムーン』(2016〜2019)までの21年間総監督を務めた湯山邦彦監督は、最後に総監督を務めたアニポケシリーズである『サン&ムーン』の中でサトシがポケモンリーグチャンピオンとなるストーリーを描いた。そんな湯山監督はポケモンマスターの定義を「子どもの他愛ない夢、憧れのようなもの」という風に語っている。

つまり、サトシが21年もの間掲げている夢、ポケモンマスターとは何ともフワリとしたものだったのだ。

21年間湯山監督の描き続けてきた「ポケモンマスター」という夢はひょっとするとサトシがリーグチャンピオンになった時に叶っていたのかも?と思える部分もある。しかしその先にまだ続くアニポケの放送と冒険がそうはさせない。

だから湯山監督は「子どもの他愛ない夢、憧れのようなもの」と表現したのではないかとぼくは考えている。

後任となった令和版アニポケ総監督の冨安大貴監督は湯山監督を以前からサポートする右腕的存在だった。『サン&ムーン』のポケモンリーグ編が開始する際のインタビューの中で冨安監督はこう語っている。

勝ち負けではなく、本気でやることで何かを学んでほしいという思いがあるからなんですよね。ですから、負けたとしても何か得るものがあるように描くことを心がけています。極端な話をすると、優勝者以外は全員負けですし、負け方を学んでほしいという気持ちで制作している部分もあります。

TVアニメ『ポケモン』監督・冨安大貴が語るポケモンリーグへの意気込み「キャラクターのバックボーンや日常を背負ったリーグを描きたい」

何とも現実的でありそしてアニポケを令和世代の子どもたちに届けることを大事にしているように感じる言葉だ。

(C)Nintendo・Creatures・GAME FREAK・TV Tokyo・ShoPro・JR Kikaku
(C)Pokemon (C)2020 ピカチュウプロジェクト

冨安監督の指揮によってスタートした令和版アニポケの冒頭では「ポケモンマスターになる」よりももっと具体的なサトシの夢が度々語られる。それは「最強王者ダンデとバトルし、勝つこと」と名言されているのだ!「世界中のポケモンをゲットし、ミュウにたどり着く」というゴウの夢と「最強王者ダンデとバトルし、勝つこと」というサトシの夢が具体的であることが何とも今の時代を表しているように感じる。

時代に合わせた
ポケモントレーナーという職業

初代アニポケが始まった1997年。当時は「◯◯になる!」というテーマのアニメや漫画が大量生産されていた。

『ワンピース』(1997)の主人公モンキー・D・ルフィは「海賊王」に『ナルト』(1999)は「火影」に、そしてサトシは「ポケモンマスター」になってやる!と志を持ってストーリーが始まるのだ!

90年代の当時ぼくが子どもながらに抱いていた「将来の夢」に対する印象は「子どもなんだからとにかく大きなことを言っておけばいいんだろ?」というものだった。

ぼくよりも少し上の就職氷河期世代と呼ばれるバブル崩壊後にちょうど社会に出ていくものたちは「やりたいことが見つからない」といったような悩みを抱えているとメディアに取り上げられることが多く、「自分探し」なんていう言葉が子どもの頃のぼくの耳に頻繁に入ってきていた。

子ども向けの番組は大きな夢を語り、大学生や社会人1年目の世代に向けた番組ではみんな自分探しをしていた印象だった。共通して「自分とは一体何者なのか。そして何者になりたいのか」という疑問を常に問いかけられていたように感じる。

あれはきっと当時の流行りものだったのような気がする。1997年はちょうどぼくが小学生の頃で今のようにフリーターやフリーランスのようにフラフラと仕事を変えることがあまり良いものとされていなかった。だから漠然と大きな夢「◯◯になる!」と宣言する少年少女が主人公であることは至極当然だったのだ。

後にドラマ「ハケンの品格」(2007)や「働きマン」(2004)といったような作品が人気を獲得しフリーターや派遣社員、フリーランスなどを取り扱う作品が広まった。それと同時にそういった形態の職種の方達への偏見も減っていった。

しかし、97年という時代では「やりたいことがわからない」という悩みを持つ多くの若者たちをネガティブに捉えていた印象があった。だからこそ、さらにその下の子どもの世代に向けるべきメッセージは「◯◯になる!」と心に決めた主人公の冒険だったのではないだろうか。

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(C)Pokemon (C)2017 ピカチュウプロジェクト

そんなメッセージを持った作品たちがヒットした理由は自分の子どもには「将来の夢を持たせてあげたい」と願う親世代に届いたからだったのではないだろうか。

スポーツ選手や芸能人、芸術家やミュージシャンなどは子どもの頃から生まれ持った才能を開花させるべく英才教育を受け、その道一筋でやっていくことが当然であった時代。本当にそれが当然とされていた時代だったのだ。

卓球の福原愛選手が子どもの頃に涙を流しながらラケットを握っている姿をテレビで何度も見た記憶がある。「愛ちゃんくらい頑張らなければ一番にはなれないんだ」子どもながらに感じていた。

だけど今のこの多様化が進んだ時代ではその常識も崩れている。人生を通して夢や職業は決してひとつとは限らない世の中で子どもたちが「一番」や「チャンピオン」を目指す必要が無くなってきている。だからこそサトシとゴウは「リーグチャンピオンになる」や「世界一のポケモン博士になる」などの称号を彼らは語らない。サトシは「ダンデを倒すこと」ゴウは「ミュウに辿り着くこと」を自分なりの夢を提示しているのだ。

バトル専門のサトシとゲット専門のゴウ。

アニポケ主人公の夢の分業制が始まったのだ!

アニメ「ポケットモンスター」公式Twitter @anipoke_PRより

サトシくんには仲間増やす時間なんて必要ないから、もっとポケモンたちとトレーニングに集中してもらおう!という何とも令和的な理想的な職場が完成している! この分業制こそが大発明であり、ぼくの録画予約リストから外れなかった一番の魅力でもあるのだ!

拠点を置いての冒険

そして!今回の最新アニポケのもうひとつ大きく変わった設定。それがカントー地方クチバシティに新設されたポケモン研究所のリサーチフェローとして住み込みでポケモンの様々な生態を調査することが二人の仕事であるということ。

サトシとゴウは住み込みの拠点を持ち、毎回世界中のポケモンを調査するために冒険に出てはサクラギ研究所という場所に帰ってくるのだ!この辺りも今の時代にすごくマッチしている気がする!

というのも以前までのアニポケシリーズの冒険というのは「旅」だった。目的地がどこなのか?どこに向かって歩いているのか?10歳のサトシが森の中で野宿しているけれど本当に大丈夫なのか?というかお金とかどうしてるの?

アニメ「ポケットモンスター」公式Twitter @anipoke_PRより

といったような不安があった。ぼくが子どもの頃に感じていた「子どもだまし」な設定が一気に排除されたのだ!サトシとゴウは本職であるリサーチフェローの仕事によって衣食住を確保しながらそれぞれの夢を叶えるために冒険している。アニメ主人公の夢はついに副業と化したのだ!

ついにこんな時代がきたんですねぇ〜

自分の生活を犠牲にしてまでも追いかけるのが夢だった時代は終わったんだ!まずはきちっと仕事を確保した上で、余った時間で目標を達成していく彼らの姿は本当に大人が見ても憧れる生活だったりするんですよね。

そして、新総監督である冨安監督の施した新たなアニポケは日曜18:00から金曜18:55へと放送時間が移り変わるのである!金曜ゴールデンに進出するためにはアニポケが以前と違うアプローチをかけなければいけないのだ!

放送時間と視聴者に寄り添うアニメ作り

現在、子ども向けアニメがゴールデンタイムに放送されていることは滅多にない。そんな中、アニポケの時間帯は金曜の夜7時という最強の時間帯だ。既にお気づきの方もいられると思うが、30代のぼくにとって金曜の夜7時といえば『ドラえもん』の放送時間であった!

そんなアニメ『ドラえもん』が金曜の夜7時から土曜の夕方5時へと移動したのが2019年10月。

YouTubeの登場により子どもたちがゴールデンタイムにテレビを見なくなったのが原因か、それ以外にもいろんな要素があるにしても、ゴールデンタイム子ども向けアニメの最後の砦だった『ドラえもん』と『クレヨンしんちゃん』が同時に土曜夕方へと移動した。

そのちょうど1年後の2020年10月にアニメ『ポケットモンスター』が金曜18:55のゴールデンタイムに復活したのだ!

ゴールデンタイムにアニメを放送しづらい環境のなかで新アニポケが『ドラえもん』の時間帯に放送できる理由。以前のアニポケとは違う新冨安監督の施した新アニポケの変化。それは、『ポケットモンスター』を毎週1話完結型のアニメに変化させたこと!

以前までのアニポケは旅ものであり、ストーリーが週を跨いで繋がっていた。そのため一週見逃すと知らない仲間が増えていたり過ごしている街がドンドン変わっていった。

週を跨ぐストーリーをテレビで毎週決まった曜日の決まった時間に追いかけて見るのは今の時代にはあっていない。というのも、Netflixなどの動画配信サービスの普及により、アニメやドラマは「好きな時間に好きな分だけ一気に見る」というのが主流となったからだ。「決まった時間に1話だけサクッと見る」というテレビアニメのスタイルには1話完結型が理にかなっている。

新アニポケの設定上週を跨ぐストーリーを組む必要がなくなったのだ! そう! 拠点を置いた冒険という設定にしたことによって毎回ストーリーのエンディングにはサトシとゴウはクチバシティへ帰ってくる。

そして、バトル回ではサトシが、ゲット回ではゴウがストーリーの中心となる分業制スタイルによりシナリオの振り幅はかなり広がっているため飽きさせない!

なにより898種類のポケモンたちが世代をごちゃ混ぜにして登場するワクワクは親子揃って楽しめるアニメシリーズへと変貌を遂げた。

金曜夕方のアニメ『ポケットモンスター』は向かうところ敵なしのコンテンツであるのだ!

  文・金城昌秀
 編集・川合裕之(店主)

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解説『ポケモンしりとり』(2020)

うた:
ポケモン音楽クラブ(増田順一/パソコン音楽クラブ/ポケモンキッズ2019)

作詞・作曲・編曲:
パソコン音楽クラブ

プロデュース:
増田順一

アニメ「ポケットモンスター」のエンディングテーマ『ポケモンしりとり』

内容はポケモンの名前をしりとりで繋げて覚えよう!という歌。1997年に大ヒットした『ポケモン言えるかな? 』のようにポケモンの名前にメロディがついている訳ではないので歌詞を覚えるのはかなり難しい。

アニメのエンディング映像の背景に何気なく映し出されるポケモンのシルエットたちは実は『ポケモン言えるかな?』の歌詞の順番通りに並んでいる。

また、間奏部分や細かな効果音は初代ポケモンのゲーム音を巧みにサンプリングされているため30代のパパママ世代が子どもと共に見ていても楽しい映像となっている。

作詞作曲を担当するパソコン音楽クラブは2015年に結成された日本のDTMユニット。ポケモンシリーズの他にもゲーム『PACMAN』のBGMをサンプリングした楽曲を集めたEP『JOIN THE PAC – PAC-MAN 40th ANNIVERSARY ALBUM -』(2020)に参加するなど、他ジャンルのカルチャーを取り入れた楽曲を発表しワールドワイドな活動を行っている。

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金城昌秀 Written by:

ロックバンド「愛はズボーン」でGt.Voを担当。 様々なアーティストのMV監督や動画編集、グッズやCDジャケットといったアートワークも手がける。

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