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(C)2019 映画「タロウのバカ」製作委員会

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『セトウツミ』や「まほろシリーズ」、『ぼっちゃん』などを監督してきた大森立嗣(おおもり・たつし)による2019年の映画『タロウのバカ』をレビューします。「社会の外側を見ること」に伴う息苦しさ・閉塞感は、映画館という空間だからこそ成り立っていたのではないか、という論考です。

それではどうぞお召し上がりください。

慮外放心。呆然。テアトル梅田の地下劇場から地上へ登るときの筆者のその心持ちは、このように表現するほかありません。

戸籍もなく、就学経験もなく、そぞろに毎日を過ごす少年・タロウ。エージ、スギオという高校生の仲間とともに、3人で奔放で破滅的な時間に身を投じて消耗する日々。あることをきっかけに一丁の拳銃を手にしたことから、タロウたちは邪悪でからりとした刺激を加速させることとなる――。これが『タロウのバカ』の簡単なあらすじです。しかしこれはさっぱりと爽やかな青春群像劇でも、うなるほどの痛快なケイパーアクション劇でもない。真夏の炎天下に、手負いの蟻がもがく様をじいっと眺めつづけるような忍耐を要する、静的な苦しみの伴う映画なのです。

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