「部室」ということばを聞くと心臓からきゅんと音が聞こえます。高校時代はソフトテニス部に所属していて、下手くそで全然楽しくなかったんだけれど、ソフトテニス部の部室のことは好きでした。歴代の先輩たちが置いていったラケット、手作り感あふれる木のベンチ、品の無い落書き。点在する物はゴミなのかゴミじゃないかすら分からず、所有者も不明で、そもそもいつからそこに存在しているのか分からない。すべてが部室の構成要素としてはかげがえのないものであるように見えて、でも何かがなくなっても決して気づかないだろうという予感もある。狭くて雑多な空間の中に、時空を超…