お好み焼き屋で、父親がジンジャーエールを飲んでいる。一口、もう一口と飲んで、ふと「やっぱりコーラにすればよかったなあ」とぼやく。 わたしはいてもたってもいられず、半分泣きそうになりながら「残りわたしが飲むからコーラ頼んだほうがいいよ」と言う。 お父さんに何1つ心残りがありませんように。 父は、変なタイミングで急に必死になるわたしの顔を、不思議そうに眺める。 あの頃のわたしは、「わたしを無くしても父でいられる」ということを、全然わかっていなかったのだ。 続きを読む「66号線」と別々の人間たち / 或いは父の愛<br>|連載:わたしがグダグダうじうじしていることは大抵すでに藤原基央が曲にしている 5曲目