Te wo Arai mashou.

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IMDbより わたしが故郷を出ると決心したのは小学生の頃だったらしい。「こんな家はもういやだ、はやく出て行きたい(でも今は無理だからもう少しがまんしよう)」と書き殴ってゴミ箱に捨てた日記を親が発見し、数年経ってからそのことを教えてくれた。 高校生になったわたしは迷わず県外の大学を志望し、就職を機にその場所から離れ、退職後さらに違う土地へと移った。思い返せばこの10年間、故郷から離れ続けている。自分で選んだ道を進むことは幸せであり、時に苦しみを伴うと理解するには十分な時間でもあった。わたしの生き方は珍しくない、どこにでもある話だと思って…

(C)山内マリコ/集英社・「あのこは貴族」製作委員会

「あのこ」が誰なのか、映画がはじまるや否やわたしたちはすぐに察する。元旦の東京をタクシーで移動する彼女の身なり、運転手のどうでもいい話に返事をせず、かといって流れる夜景にも関心を示さない物憂げな表情。そして立派なホテルで豪華な食事を楽しむ彼女の家族を見て「このこが貴族」だと確信する。じゃあわたし(たち)はなんだろう。

映画『あのこは貴族』はあらゆる「対比」が散りばめられた作品であり、その対比はタイトルから既にはじまっている。家族との優雅な会食とそこでの話題、「おばあちゃま」呼びなどなど、わたしたち観客は華子との生まれ育ちの比較をせずにはいられない。

→読む前に『あのこは貴族』をもう一度観る

2021.01.20 / / コラム

IMDbより

初めてこの映画を見たのがいつだったか、どうしても思い出せない。わたしが写真を撮りだした時か、もしかしたら写真の道を目指そうなんて思ってもなかった時かもしれない。どっちにせよわたしは「撮る」側の気持ちになってこの映画を眺めていた。全ては共感できないけど、理解はできるなあとか考えていた。それはわたしに写真を撮る覚悟ができていなかったことを意味する。

わたしは大学生の時にヌードに惹かれ、写真に惹かれ、今は写真家として生きている。人を撮っている。

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