Te wo Arai mashou.

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(C)2019 吉本興業

2020年8月に公開された『僕の好きな女の子』は飛ぶ鳥を落として・焼いて・食って・食後酒の入ったグラスでも傾けようかしらといった風情の又吉直樹御大が記した、たった4ページのエッセイを映画化した作品です。

映画自体も90分程度とコンパクトな長さでしたが、随所に「又吉節」が感じられる作品でした。そして何よりもヒロインについて語りたい……のですが、まずは自分が思う「又吉節」についてお話します。

(C)2019 映画「タロウのバカ」製作委員会

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『セトウツミ』や「まほろシリーズ」、『ぼっちゃん』などを監督してきた大森立嗣(おおもり・たつし)による2019年の映画『タロウのバカ』をレビューします。「社会の外側を見ること」に伴う息苦しさ・閉塞感は、映画館という空間だからこそ成り立っていたのではないか、という論考です。

それではどうぞお召し上がりください。

慮外放心。呆然。テアトル梅田の地下劇場から地上へ登るときの筆者のその心持ちは、このように表現するほかありません。

戸籍もなく、就学経験もなく、そぞろに毎日を過ごす少年・タロウ。エージ、スギオという高校生の仲間とともに、3人で奔放で破滅的な時間に身を投じて消耗する日々。あることをきっかけに一丁の拳銃を手にしたことから、タロウたちは邪悪でからりとした刺激を加速させることとなる――。これが『タロウのバカ』の簡単なあらすじです。しかしこれはさっぱりと爽やかな青春群像劇でも、うなるほどの痛快なケイパーアクション劇でもない。真夏の炎天下に、手負いの蟻がもがく様をじいっと眺めつづけるような忍耐を要する、静的な苦しみの伴う映画なのです。

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