(C)本郷あきよし・東映アニメーション ゴキゲンな蝶になりおれへんのですわ。 『デジモンアドベンチャー LAST EVOLUTION 絆』は、曖昧な大人の境界線をデジモンを使って表現している映画だ。そして、「大人になんてなりたくない」なんて思っているぼくたちの背中をスッと押してくれる、そんな映画でもある。 モラトリアム状態の悩みを描く映画 (C)本郷あきよし・東映アニメーション 『デジモンアドベンチャー LAST EVOLUTION 絆』は、デジモンシリーズ20周年を記念して作られた映画。デジモン初代スタッフとデジモンと共に育ったデジ…
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2020年に公開された映画『デジモンアドベンチャー LAST EVOLUTION 絆』の謎――どうして消えるデジモンと消えないポケモンがいるの?――にせまるレビューをお届けします。 まずは前提として「デジモンはかわいい、じゃなくてかっこいい」のコンテンツであることを前の記事でお伝えしました。バンダイ自身も “戦うたまごっち” という宣伝文句をつかっているくらいです。デジモンは「かっこいい」を意識したものなのです。 〈前の記事:ポケモンとデジモンの違いについて考える | 『デジモンアドベンチャー LAST EVOLUTION 絆』レビュ…
※この記事は前後編に分かれていますが、どちらからお読みいただいても大丈夫です!
後編:無限大な夢の後の何もない世の中に生きる子どもたち | 『デジモンアドベンチャー LAST EVOLUTION 絆』
アニメシリーズ20周年記念作品として2020年2月に公開された『デジモンアドベンチャー LAST EVOLUTION 絆』の舞台は2010年。
かつて “選ばれし子どもたち” と呼ばれ、デジモンたちとの戦いの日々を送っていた主人公の八神太一たちは大学4回生。
卒業論文、就職活動、アルバイトといった忙しい日常に迫られる平凡な青年となって登場する。
(C)本郷あきよし・東映アニメーション
この作品のテーマは「子どもから大人になる」という普遍的なものであり、デジモンリアルタイム世代のぼくは子ども時代から見た目も性格も変わった太一たちをみて自分に重ねた。
そんな大人になったぼくたちの「子どもから大人になるとはどういうことなのか?」という気持ちの落とし所をこの作品は提示してくれた。
だけど、この作品、一見すると腑に落ちないポイントが存在する。