I’m back. Omatase. 

フラスコ編集部

フラスコ編集部

「フラスコ飯店」は映画を通して新しい視点や知識を楽しめるwebメディアでございます。またのご来店をお待ちしております。

フラスコ編集部の書いた記事

(C)2013 WHIPLASH, LLC. All Rights Reserved. 弱気そうなのに文字通り死ぬほどの気迫を持っているドラム奏者のニーマン、10辛レベルのバイオレンスを振り回しながらも単なる記号ではなく人間としてそこに存在した鬼教官フレッチャー。ふたりを演じたマイルズ・テラーと J・K・シモンズの尽力も並々ならないものです。 音楽と映像がバキバキに相互作用しながらそれがストーリーにも絡みあって物語を装飾・前進させていたことは言うまでもなく、一級品の素材を集めて、もっとも効果的に配置したデイミアン・チャゼルとは一体何者…

ビッグカフナバーガーは、映画『Pulp Fiction』(1995)に登場する架空のハンバーガー店のメニュー。サミュエル・L・ジャクソン演じるジュールスが食べる——というか静かにキレながら奪いとった一品です。 架空のお店の架空のメニューなので、「好きなハンバーガーは?」と聞かれて「ビッグカフナバーガー」と答えてしまわないように注意しましょう。反対にそうした人間に出会った場合、そいつはとても良いやつな代わりに、死ぬほど面倒臭いので適度な距離感を保ちながら愛してあげてください。可愛いやつですよ。 「カフナ」はハワイ先住民にとって「専門家」…

(C)2022 A24 Distribution, LLC. All Rights Reserved. 複雑な映画だった。だから『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』にはいろんな読解 / 解釈 がある。 しかし、こういうのはどうだろう。これは自己同一性の映画だ。 そう考えると、「なぜ靴を反対に履くのか」「なぜベーグルなのか」の理由が見えてくる気がします。「なぜクィアな人たちばかりにスポットライトが当たるのか」の説明も、多分これでなんとかなると思います。 ちなみに、難解でお馴染みのテレビ版エヴァンゲリオンの「おめでとう」…

あたらしく自転車を買った。嬉しくて無闇やたらに走り回っているとこんなところに喫茶店があったのかと虚をつかれる。年季の入った木造住宅の玄関先には白いペンキで “珈琲” とだけ書かれた、これまた年季の入ったボードが掲げられている。中を覗かずとも店の2階が居住スペースであることが一目瞭然で、いかにも僕が好きそうな佇まいである。

知ってさえいればもっと早くに来たのにと思いながらその喫茶店を通り過ぎ、次の信号で行儀良く停止する。待っているあいだ、こんなに近所にあるのにどうして気がつかなかったのだろうと思う。

多くの子供がそうだったように、自分にもその昔夢があった。何にでもなれるような気がしていた。 映画を観るようになった10代前半の頃、私はスクリーン上で繰り広げられる人間模様に感動し、登場人物に想いを馳せた。映画を観て世の中にある職業を知り、将来について色々想像した。 ロビン・ウィリアムズがお気に入りだった。『レナードの朝』や『パッチアダムス』で医者を演じる彼に影響されて、自分も医者になりたいと思い、『グッド・ウィル・ハンティング』の彼を観て心理学者もいいなと思ったりした。 ゆとり世代だからか、小学校や中学校では将来の夢について作文で書く…

©️1986 Columbia Pictures Industries, Inc. All Rights Reserved. 12歳の頃、友達を探していた。12歳が終わるまでに親友と呼べる存在が欲しかった。日々失われる少年時代。中学受験を控えて私は焦っていた。というのも、映画『スタンド・バイ・ミー』の最後にある言葉を額面通り信じていたからだ。 「あの12歳の時のような友達はもうできない」 エンディングが流れる前に、作家となった主人公がコンピューターに打ち込む言葉。 それを見た小学校低学年の私は、「親友を見つけるなら13歳…

(C)2021 C&Iエンタテインメント 忘れた頃にいきなり現れて、おもむろに心臓を握ってくる。とてもじゃないけど、息もできない。そして、いきなりいなくなる。本当なら、会った瞬間にぶん殴って、叫びながら逃げた先の河原なんかで涙のひとつでも流してやりたい。なんで戻ってくるんだよ。とっくにさよならしたはずなのに。すれ違うだけで、苦しくてしょうがないんだよ。 でもさ、やっぱり会えるとなんだかんだ嬉しいんだ。色々とひどいことを言ってしまってすまない。謝るよ。本音を言うと、どこにいたの、探してたよ、って感じなんだ。実のところ、君に会って…

(C)2021「ドライブ・マイ・カー」製作委員会 言葉とは何だろう。言葉が通じるとは、話をするとは、どういうことだろう。言葉を使うことは否応なく、言葉を使わなければ出会うことのなかった深い深い孤独と対面することでもある。同時に、言葉がなければ見ることのできない祝福の光を浴びることでもある。そのような孤独の暗闇と、トンネルの先にある朝の海のような眩しい光とのあわいを、一台の赤い車が走ってゆく。 『ドライブ・マイ・カー』という映画について語る時、まず僕はこういった抽象的なイメージを語らなければならない。すぐさま細部を語るには、あまりにこの…

題字:キョウハナ 令和になって久しい。まる3年が経とうとしているらしい。石の上にも三年。「平成かお前は」という言葉などは、気づけば倫理観のオワった化石を打ち砕くための弾丸になってしまった。 なんか堅いな、ごめんね。あなたが思うより冷静です。 いやいや、こんな安い時事を取り入れるようになったら終わりかもしれない。自分で思うよりアラサーなのかもしれない。 そんなわけで、フラスコ飯店がことし取り扱った作品を全てズラッと一覧でお届けします。 年末年始の暇つぶしに、またはこれから観る映画を決めるのにご活用いただければと思います。 店主より 20…

©️New Line Cinema あなたは完全だ。 自分は全く完全ではなく、何かが欠けていると思っている人へ。欠けているなにかを探さなくてはいけないと思っている人へ。欠けているなにかなんて見つからないと諦めている人へ。そんなふうに考えたこともないという人へ。その他も含めた全ての人に言う。あなたは疑う余地なく完全だ。 今から、そのことを教えてくれる素晴らしい映画についての話をする。この映画は素晴らしいが、そのラストシーンに関して言えば分かりにくい。それでも、初めて観た時に僕はラストシーンで泣いた。それは、「Midnigh…

Twitter あります