主題歌は主題以下の下世話なメッセージを放つことがしばしばであり、映画ファンの積年の悩みであった。――という表現はいささか過激でしょうか。
映画「ちはやふる」シリーズ3部作は、「少女漫画原作の映画化」という一部映画ファンにとっては頭の痛い呪いの冠を持ちながらも1000年後も残るであろう素晴らしい作品になりました。
主題歌は主題以下の下世話なメッセージを放つことがしばしばであり、映画ファンの積年の悩みであった。――という表現はいささか過激でしょうか。
映画「ちはやふる」シリーズ3部作は、「少女漫画原作の映画化」という一部映画ファンにとっては頭の痛い呪いの冠を持ちながらも1000年後も残るであろう素晴らしい作品になりました。
か細く、弱弱しい励ましの声が聞こえました。
それは西宮ガーデンズのレイトショーで僕が『ちはやふる -結び-』を見ていたとき。クライマックスのある場面で、盛り上がりに盛り上がったところで隣の若い女性が上映中に声を漏らしたのです。
「たいちぃ~」
うん、わかる。気持ちはわかる。僕も思いましたよ「ちはや~~!!」って。「しのぶちゃん!!!」って叫びたくなりましたよ。松岡茉優好きだし。
でも、僕は敢えて声を大にして言いたい。「ちはやふる」シリーズは、言わずもがな少女漫画原作の映画ではあるが、しかしながら「恋愛映画」ではないと。にもかかわらずなぜ彼女は「たいちぃ~」と甘い声を漏らしたのか。今日はこの謎を解き明かしてみたいと思います。
平成の遺産。映画「ちはやふる」三部作をそんな大仰に表現することだって僕はもうためらいません。
しかしながら、残念なことにこの映画には旬がない。夏に甘酸っぱい日本のアニメ映画を見る。またはクリスマスに『ホーム・アローン』(または『ダイ・ハード]』でも構いませんが……)というような季節性を帯びた作品ではありません。あのSF映画のアノ技術が実現した? そういやどんな話だったっけ。という機会にも到底恵まれないでしょう。
じゃあなぜいま?そんな声も聞こえてきそうですが、僕たちの答えはこうです。旬がない。だったらいつでも。
そんなわけで今月の特集では、小泉徳宏氏が監督する「ちはやふる」シリーズの魅力をお伝えしましょう。
長かった戦いが、ようやく終わった。2008年から11年間続いたMCUは、『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)でようやく大きなひと区切りがつきました。10年。それは一言で片付けるにはあまりにも長過ぎる時間です。
この10年、色々ありましたね。思い浮かべてみてください。個人的なことでも構いません。たとえば、いま手に持っているそのスマホは、まだ二つ折りのガラケーだったのではないでしょうか?あのトニー・スタークもまた例外ではなく、1作目の『アイアンマン』(2008)では「スタイリッシュな」ガラケーを使いこなしています。世界的大企業の社長であり、自身もエンジニアであるとうい設定のキャラの持つ端末ですら……!
そんな時代からMCUはスタートしました。本当に本当に長い時間が経ったのだなと改めて実感します。
ちなみに筆者はといえばまだ14歳の中学2年生で、たったの4GBのウォークマンでPerfume を繰り返し繰り返し聴いていました。日本は民主党政権になるちょっと前。
要するに、技術から政治から経済まで、何から何まで大きく変わったということです。ここで、改めてこれまでを振り返ってみましょう。10年前には見えていなかったことだって、今はもう見通せるかもしれません。