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これもマスト?あれもマスト?

 世の中にはコンテンツの品数が多すぎる。

 どんなカルチャーを食べてよいかわからないと悩まないよう、フラスコ飯店が食べ合わせの良い「定食」を自信をもってご提案いたしましょう。ひとつのテーマに沿って映画・書籍・音楽……などなど媒体を横断した鑑賞セットを考案します。

今回のテーマは「記憶」。記憶は記憶でも、九九の暗記などの単純な記憶力の話ではなく、「誰かの存在を覚えていること、思い出すこと」に焦点を当てます。さらに今回は、「記憶」をモチーフにした作品の中でも、日常のとりとめのない場面に記憶の焦点を当てていたり、時間を超えた記憶を描いている3作品をセレクトしました。

「あなた」のことを覚えている。だからこそ「わたし」はここにいる。

あなたとわたしの「記憶」定食、召し上がれ。

お品書き

・小説『図書室』
・漫画『不滅のあなたへ』
・映画『A GHOST STORY』

「本当は甘いコーヒーが飲みたいのに、レジの店員さんに格好悪いと思われるのが嫌だから、飲みたくもないブラックコーヒーを買って、いつも後悔するんです」

飛ぶ鳥を落として焼いて食べるくらいの勢いで活躍しているお笑いコンビ、宮下草薙の草薙くんが、何かの番組でそんなことを言っていた。痛いほどに分かる。

趣味嗜好を人に暴くのは心の底から恐ろしい。「そういう人間なんだ」と一度思われたら、その引力からは二度と逃れられないような気がする。

自意識はオーバードライブするとどんどん悪い方向に働く。誰もそんなことは思わないはずなのに、自意識自身が「あなたは甘いコーヒーを買う人間なんですね、ははあ」と嘲笑する店員を自分の中に作り出してしまうのである。

2019.08.17 / / 特集
2019.08.17 / / 特集

か細く、弱弱しい励ましの声が聞こえました。

それは西宮ガーデンズのレイトショーで僕が『ちはやふる -結び-』を見ていたとき。クライマックスのある場面で、盛り上がりに盛り上がったところで隣の若い女性が上映中に声を漏らしたのです。

「たいちぃ~」

うん、わかる。気持ちはわかる。僕も思いましたよ「ちはや~~!!」って。「しのぶちゃん!!!」って叫びたくなりましたよ。松岡茉優好きだし。

でも、僕は敢えて声を大にして言いたい。「ちはやふる」シリーズは、言わずもがな少女漫画原作の映画ではあるが、しかしながら「恋愛映画」ではないと。にもかかわらずなぜ彼女は「たいちぃ~」と甘い声を漏らしたのか。今日はこの謎を解き明かしてみたいと思います。

2019.08.17 / / 特集

平成の遺産。映画「ちはやふる」三部作をそんな大仰に表現することだって僕はもうためらいません。

しかしながら、残念なことにこの映画には旬がない。夏に甘酸っぱい日本のアニメ映画を見る。またはクリスマスに『ホーム・アローン』(または『ダイ・ハード]』でも構いませんが……)というような季節性を帯びた作品ではありません。あのSF映画のアノ技術が実現した? そういやどんな話だったっけ。という機会にも到底恵まれないでしょう。

じゃあなぜいま?そんな声も聞こえてきそうですが、僕たちの答えはこうです。旬がない。だったらいつでも。

そんなわけで今月の特集では、小泉徳宏氏が監督する「ちはやふる」シリーズの魅力をお伝えしましょう。

あなたのもとに、あるツイートが流れてきました。

あなたは当然「ひどい」と思います。リプライ欄にも同情的なツイートや歩きタバコに対する怒りのツイートが並び、さらには専門家らしき人が詳細に対処法を教えているものもありました。

あなたはこんなひどいことが二度と繰り返されないためにも、そのツイートのリツイートボタンを押しました。

後日、また別のツイートが流れてきました。

それは前にあなたがリツイートした【悲報】ツイートが、全くの嘘だということを告発しています。

「えっ、あれ嘘だったの??!」

しかも元の画像は、むしろほのぼのしたエピソードでした。

あの【悲報】ツイートを見たときに抱いた同情が、一気に腹立たしさに変わるのを感じます。無理もありません。あのツイートの主は、全く事実でないことをでっち上げて、多くの人を騙したわけですから。あなたは自分がデマを拡散してしまったことに気づき、それを訂正するためにも、告発ツイートのリツイートボタンを押しました。