Te wo Arai mashou.

フラスコ飯店 Posts

「部室」ということばを聞くと心臓からきゅんと音が聞こえます。高校時代はソフトテニス部に所属していて、下手くそで全然楽しくなかったんだけれど、ソフトテニス部の部室のことは好きでした。歴代の先輩たちが置いていったラケット、手作り感あふれる木のベンチ、品の無い落書き。点在する物はゴミなのかゴミじゃないかすら分からず、所有者も不明で、そもそもいつからそこに存在しているのか分からない。すべてが部室の構成要素としてはかげがえのないものであるように見えて、でも何かがなくなっても決して気づかないだろうという予感もある。狭くて雑多な空間の中に、時空を超えてたくさんの人たちの残り香が残っていてまるでいつまでも終わらない物語を読んでいるような感覚があります。

2021.07.05 / / コラム

映画館に行けなくなった。数字でしか知ることのない、目に見えない病気の脅威を改めて実感した。なんともお気楽な話で大変恐縮なのですが、娯楽だって立派な必要最低限だ。

しばらくして、映画館には行けるようになった。そもそも映画館は感染リスクの低い娯楽施設である。納得だ。しかしまだ本調子ではない。席数を制限する劇場もあり、なによりレイトショーが全然やってない。

贅沢かもしれない。けれどやっぱり僕はレイトショーに行きたい。

2021.07.02 / / コラム

(C)2009 SUMMERWARS FILM PARTNERS

夏。緑と青空、セミの声と氷が溶けてグラスの中で傾く音、雨上がりのアスファルトの匂い、山下達郎の歌声。ぼくは日本の夏が大好きだ!

そんな「夏」というアウトドアなイメージに対して、真逆のインドアなイメージのインターネットの世界をぶつけて混ぜ合わせ、リンクさせて物語を作り上げた作品が細田守監督の『サマーウォーズ』(2009)である!

2021.06.18 / / コラム

『ダークナイト』(2008)の半端ではないほどの緊張感を作り出しているのはヒース・レジャー演じるジョーカーというキャラクターである!……というのは今回は置いておいて、目には見えないが、明らかに緊張感にブーストをかけているBGM。つまり音楽に注目してみた時に、あの緊張の糸が張り詰めていくような上昇していくストリングスの音はまさにジェットコースターのそれだ!上昇しすぎて千切れてしまいそうなのに、まだ上昇するから本当にハラハラする。

IMDbより

一度だけ、「愛してる」と言った。冗談で。途端に身体と顔は燃え上がり、心臓は壊れたように騒ぎ出した。それ以来、言えない。「愛」という言葉は理の外にあるみたいだ。誰に言ったのかも覚えていない。この人に言ったかなと思う人に電話して聞いてみたが違った。「あなたに愛してると言いましたか? 」と尋ねるのは恥ずかしくて、「あー」とか「うー」とか言って分かってもらった。なんという不誠実さ! ともあれ、それくらい適当に言った。

とにかく、僕は逃げた。

「誕生日おめでとう。何歳になったの?」
「わ〜ありがとうございます。29歳になりました……」
「えっ、もうそんな歳になるっけ?(笑) やばいね(笑)」

年明けめでたい空気が残る中で、不意に目の前で起こった会話だった。

23歳を過ぎた頃から、周りは優しく危機感を摺り込んできて、そして当事者の私たちはしきりに確かめ合うようになる。「そろそろやばいかな?」なんて。

変わらないままいるなど、許されないみたいだ。

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