I’m back. Omatase. 

フラスコ飯店 Posts

2020.05.11 / / わた藤

バスに揺られている。窓から柔らかい光が差し込んで、まるで自分が豆苗になったみたいな、のびやかでふくふくとした気持ちになる。程よくぼーっとしながら音楽を聴いていると、ふとある歌詞が耳に残り、曲を巻き戻して最初から再生する。豆苗のわたしは人間に戻り、「ああ、つかまえたんだ」とわかってしまう。さあっと全身に鳥肌が立ち、なんだか目頭が熱くなる。

何万回も聴いたはずの曲が何を言っているのか、突然わかることがある。一生懸命生きていたご褒美みたいな、でももう「わかる前」には戻れなくてもったいないみたいな、そんな瞬間。

2020.05.09 / / コラム

ワニが死んだ。

喪に服す間もなく即グッズ展開、即ミュージックビデオ、即映画化。

げんなりした、という声も少なくありませんでした。たしかに、捉えようによってはまるで「いい話だと思ったら青汁のCMだった」あるいは「新聞のCMだった」というような肩透かしかもしれませんね。

さらに舞台袖からは国内最大手広告代理店がちらつき、「お前さんとこの会社が “死” を商品にするのかい」という指摘もあいまって、それはそれは盛大なまつりあげになってしまいました。

それはそうと。

筆者がいっとう気になったのは、このブームに際して「ぼくの・わたしの100日間」を紡ぐコラムが人々の手によって発表されていたことです。

CAUTION!!

これはイラストレーターの逆襲です。

WEB記事において、“アイキャッチイラスト”とは、記事ありきのイラストです。

「ライター陣ばっかり好きなもの好きなように書くのずるいよ!」

そんなイラストレーターの一声から始まりましたこの逆襲。

イラストレーターが描きたいものを自由に描いて、それに沿ってライターが執筆する。これは、記事ありきのイラストというこれまでの制作の流れを止め、イラストありきの記事にするという、超我儘企画です。

詳しくは
私、フラスコ編集部に逆襲します。

第一回はライター・安尾日向に逆襲!

僕はフィルム写真を撮っています。大学生になってからはじめたので、3、4年でしょうか。あまり人は撮りません。その辺の道端に落っこちているものとか、よくわからない風景とか、そういうものを撮っています。きれいな写真になることもあれば、そうならないこともあります。そんなに熱心ではないですが、細々と続いています。

誰にも見られていない一人きりの部屋の中でぼくは何をする?

全ての欲望を完全に解放するなら何をする?

そして、それら全てを完全に隠し通すことができるなら本当の本当に何をする?

誰にも見られていない状況でそれらを全て隠し通すことができて、なおかつ、何もかもを解放できるなら……

きっとここには書けないようなあんなことやこんなこと、あらゆる欲望を満たすだろう。

2020.04.26 / / コラム

「あの映画の続編が出るらしい!」

そんな情報にはいつも心踊らされる。

前作のキャストたちは今回も作品に参加しているのか? 監督は誰が? あのキャラクターたちは一体、その後どう過ごしているのか?

などを頭に思い描いてワクワクする。

それと同時に

「変な感じになるくらいなら続編なんて作らないでほしいんだけどなぁ」

「シリーズ1作目が結局一番面白かったのになぁ」

なんてことも考えたりすることもある。

世界史は小難しい受験科目。そう思い込んではいませんか。いいえ、きっとそんなことない。

難しそうな世界史だって、ひとりひとりの人間の営みの積み重ね。

その奥にはドラマがあります。映画を通して世界史を学んでみましょう。呪文にしか思えない横文字だって、親近感がわいて覚えやすくなるかも?

ライターのMinamiさんが教えてくれます。

——あなたなら、①と②のどちらを選ぶだろうか? 僕は①の「だけど」を選ぶ人のほうが多いと予想する。

どうして「②だから」ではなく「①だけど」が入ったほうが自然な文に思えてしまうのか。この記事のテーマはまさにこの疑問にある。

「共感」と「おもしろいかどうか」。2つの間に結ばれた関係はどのようなものか。小説「劇場」を通して考えてみよう。

(C)本郷あきよし・東映アニメーション ゴキゲンな蝶になりおれへんのですわ。 『デジモンアドベンチャー LAST EVOLUTION 絆』は、曖昧な大人の境界線をデジモンを使って表現している映画だ。そして、「大人になんてなりたくない」なんて思っているぼくたちの背中をスッと押してくれる、そんな映画でもある。 モラトリアム状態の悩みを描く映画 (C)本郷あきよし・東映アニメーション 『デジモンアドベンチャー LAST EVOLUTION 絆』は、デジモンシリーズ20周年を記念して作られた映画。デジモン初代スタッフとデジモンと共に育ったデジ…

2020年に公開された映画『デジモンアドベンチャー LAST EVOLUTION 絆』の謎――どうして消えるデジモンと消えないポケモンがいるの?――にせまるレビューをお届けします。 まずは前提として「デジモンはかわいい、じゃなくてかっこいい」のコンテンツであることを前の記事でお伝えしました。バンダイ自身も “戦うたまごっち” という宣伝文句をつかっているくらいです。デジモンは「かっこいい」を意識したものなのです。 〈前の記事:ポケモンとデジモンの違いについて考える | 『デジモンアドベンチャー LAST EVOLUTION 絆』レビュ…

※この記事は前後編に分かれていますが、どちらからお読みいただいても大丈夫です!

後編:無限大な夢の後の何もない世の中に生きる子どもたち | 『デジモンアドベンチャー LAST EVOLUTION 絆』

アニメシリーズ20周年記念作品として2020年2月に公開された『デジモンアドベンチャー LAST EVOLUTION 絆』の舞台は2010年。

かつて  “選ばれし子どもたち” と呼ばれ、デジモンたちとの戦いの日々を送っていた主人公の八神太一たちは大学4回生。

卒業論文、就職活動、アルバイトといった忙しい日常に迫られる平凡な青年となって登場する。

(C)本郷あきよし・東映アニメーション

この作品のテーマは「子どもから大人になる」という普遍的なものであり、デジモンリアルタイム世代のぼくは子ども時代から見た目も性格も変わった太一たちをみて自分に重ねた。

そんな大人になったぼくたちの「子どもから大人になるとはどういうことなのか?」という気持ちの落とし所をこの作品は提示してくれた。

だけど、この作品、一見すると腑に落ちないポイントが存在する。

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