I’m back. Omatase. 

カテゴリー: 映画レビュー

ジャックパーセルなんか、二度と履いてやるかと心に誓った。

エンドロールが終わり、立ち上がることができない。正直に打ち明けるならば、最初のモノローグの時点で、こうなることは分かっていたけれども。

たしかにこれは「良い映画」なのだろうと直感でそう思いました。が、しかしこの映画が僕に与える感情はいったい何だったのか、僕にはわかりませんでした。絶対故障だ。処理できない。けれど喪失感に似た得も言われぬ疲労が下腹にどんよりと残る。論より証拠。そうなってしまったのだから仕方ない。

(C)2021「花束みたいな恋をした」製作委員

非常識なくらい辛すぎる麻婆豆腐を食べたときのような、あるいは度を越えるほど甘ったるいチャイを飲んだときのようなーー。たしかに強烈な味がそこにあることはわかるけれど、具体的に詳細に述べることは困難で、とにかく今は水を求め喉をリセットしたい。たべるのがおそいせいかお腹がもういっぱいだ。

わからない。丁半が付かないが、勝敗ははっきりしている。あっぱれ。ちっとも理由がわからないけれど、たしかに僕は「くらって」しまいました。そんな『花束みたいに恋をした』という映画は、結局のところは一体何だったのか。

自身の体験から敢えて遠巻きに距離を取ってこの作品が何だったのかを考えたいと思います。

はじめに、『ミッドサマー』はホラー映画だ。

しかし、アクション的に、幽霊が出てきてワッと驚かせたりなど分かりやすいホラーシーンはない。

ただただ、見ていて奇妙な雰囲気や気味の悪さを感じる。老人が村の風習によって崖から飛び降りたり、奇怪な死のシーンなど異様にアップされるゴア描写が頭の中にこびりつく。

2021.01.20 / / コラム

IMDbより

初めてこの映画を見たのがいつだったか、どうしても思い出せない。わたしが写真を撮りだした時か、もしかしたら写真の道を目指そうなんて思ってもなかった時かもしれない。どっちにせよわたしは「撮る」側の気持ちになってこの映画を眺めていた。全ては共感できないけど、理解はできるなあとか考えていた。それはわたしに写真を撮る覚悟ができていなかったことを意味する。

わたしは大学生の時にヌードに惹かれ、写真に惹かれ、今は写真家として生きている。人を撮っている。

2021.01.14 / / コラム

(C)Nintendo・Creatures・GAME FREAK・TV Tokyo・ShoPro・JR Kikaku
(C)Pokemon (C)2020 ピカチュウプロジェクト

20年くらい前だろうか、小学生の頃のぼくはコロコロコミックに載っていた新しい伝説のポケモン「ホウオウ」の存在に胸が躍った。

虹色の羽を持つ唯一無二の存在。まるで永遠の命を持っているかのような神々しい姿。ポケモンは人間のペットでもなければ友達でもない。人間よりも高次元な存在の生物なのかもしれない。そんなふうに感じたからだろう。

20年以上続くポケットモンスターシリーズの定番となっている「伝説のポケモン」と「幻のポケモン」という設定は今も尚、形を変えて子どもたちの心を昂らせる存在である!

(C)Nintendo・Creatures・GAME FREAK・TV Tokyo・ShoPro・JR Kikaku
(C)Pokemon (C)2017 ピカチュウプロジェクト

2019年にリリースされた最新ゲームシリーズの『ポケットモンスター ソード・シールド』でも伝説のポケモンのザシアン、ザマゼンタ、ムゲンダイナが登場し、ゲーム内では登場しない「幻のポケモン」であるザルードの存在が既に発表されている。

そんな「幻のポケモン」ザルードが登場する『劇場版ポケットモンスター ココ』を見るためにぼくは劇場に足を運んだ。

(C)2020「星の子」製作委員会

「わけわかんなくなることってあるんだね」

姉・まーちゃんが幼いちひろに呟いたこの言葉は、私たちが生きていくなかで遭遇する “ままならなさ” を素直に表現したものとして私の耳に残った。

人生は、世界は、自分は、わけわかんない。

映画『星の子』は、自分の置かれた境遇を、周りにいるたくさんの他者を、そしてそのなかにいる自分自身を、どのように受け入れていけばよいのかという問いについて、煮えきらないまま考え続けるひとりの中学生の姿を描いた作品だと筆者は考えている。新興宗教という個別的なモチーフが用いられているが、それを通して抽出されているのは普遍的なテーマだ。

(C)2014 Warner Bros. Entertainment, Inc. and Paramount Pictures. All Rights Reserved.

もし筆者が平安時代の歌人ならば、『インターステラー』に捧げる和歌を「袖ひちて」という5音で始めることでしょう——それくらい涙を拭う羽目になります。

クリストファー・ノーラン最新作『TENET テネット』の公開に合わせ、彼の過去作が IMAX 上映でリバイバルされました。その最後の作品として、『TENET』へとバトンを渡したのが2014年公開作品の『インターステラー』でした。

地球環境が荒廃した近未来、人類を救うべく移住先となる新しい星を探しに宇宙へと旅立つ宇宙飛行士たちと、重力の謎を解明すべく奮闘する地球に残された飛行士の家族たちを描いた作品であり、特撮を駆使した圧倒的かつ美しい映像と、最新の物理学に基づいた科学的に非常に正確なワームホール、ブラックホール描写が目を引きます。さらにノーラン作品らしく「時間」を大きなテーマにしたプロットもファンにはたまりません。

前作『ダンケルク』から3年、新型感染症による映画産業の危機のなか公開された『TENET』は、奇しくも6年前の作品である『インターステラー』と似た構造を持っていました——「時間」を描写・ストーリー双方の大きなテーマとし、「世界を救う」という命題を主人公たちが背負っているという点で。

(C)2019 吉本興業

2020年8月に公開された『僕の好きな女の子』は飛ぶ鳥を落として・焼いて・食って・食後酒の入ったグラスでも傾けようかしらといった風情の又吉直樹御大が記した、たった4ページのエッセイを映画化した作品です。

映画自体も90分程度とコンパクトな長さでしたが、随所に「又吉節」が感じられる作品でした。そして何よりもヒロインについて語りたい……のですが、まずは自分が思う「又吉節」についてお話します。

『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(1985)が公開されてからもう随分と時間がたった。

あの映画による印象は俳優たちにも大きな影響を与えていてる。

ぼくは主人公マーティ役のマイケル・J・フォックスを他の映画やドラマで見た時にどうしても「マーティの人」という認識してしまうことがある。

そんなドでかい印象を与えるほどの『BttF』に最も影響を受けたものの一つにデロリアンDMC-12という車が存在する。

奇抜なデザインの車体にタイムトラベルを実現するための改造を施した最高にクールでかっこいい車。

デロリアンはBttFによって「バック・トゥ・ザ・フューチャーの車」というイメージを持つ大人気スターとなったのだが、実は悲惨な運命を背負っていたのだ。

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映画音楽にはその時代の景色が詰まっている(BttF評)

「バック・トゥ・ザ・フューチャー」は誰もが愛する名作ですが、実はこのエンタメ、用心しないと見逃してしまいそうな些細な些細な政治的メッセージが隠されています。それを大っぴらにすることなく、表面上では老若男女が理屈抜きで楽しめる。楽しめてしまう。『バック・トゥ・ザ・フューチャー』という映画の一番残酷なところです。良薬口に苦し。裏を返せば、甘いものは身体に悪いかもしれないということです。

ロバート・ゼメキスは稀代のエンタメ映画作家ですが、その一方で彼の映画を丁寧に読むと、実は意外に極めて政治的な人なのでは?としか思えないような映画の作りをしているのです。エンタメはエンタメ。そこに水を差すつもりはありませんが、敢えてこう書きましょう。『バック・トゥ・ザ・フューチャー』という映画は極めて「保守的」な映画であると。白人至上主義的で家父長制的な「強さ」の映画であると。

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